空き家対策特別処置法
「空き家対策特別処置法」について
「空き家対策特別処置法」について、分かりやすく解説します。
ここ数年「空家対策」という話やニュースを良く聞くと思います。
この「空き家対策特別処置法」は、平成26年11月に国会で成立しました。
今後は、本格的に行政が介入し「空家対策」が行われます。
空家総数の推移
総務省統計局の報道より
グラフが示す通り、空き家が凄い勢いで増えているのが分かります。
賃貸住宅や売却用の住宅も含まれて、年々増加傾向にあるのも問題ですね。
グラフでは平成20年迄のデーターですが、昨年のデーターを見ると「空き家総数は820万戸」にまで増加しています。
すごい勢いで増えています。
各市区町村では、防犯・防災・景観上で大きな問題になっています。
しかし、現行の法律では「個人情報の壁」や「個人の資産への強制」が出来るような土壌が無く、放置せざるを得ない状況が続いてきたわけです。
この増加率から見て頂いても、何らかの処置が必要なのはお分かりいただけるのではないでしょうか。
【空き家対策措置法で、何が決められたのか?】
1「空き家等」の定義が決められました。
法律上で何かを決める時は、必ずこの「定義」というものが出てきます。
今回「空き家等」がどんな物かを決める事で、他のものと区別したり該当する物を明確にする為に決めています。
「空き家等」とは、国又は地方公共団体が所有・管理する物を除く、居住その他の使用がされない建築物。
この建築物には、敷地(立木やその他、土地に定着する物)を含む・・・としています。
2「特定空き家等」というものも定義されました。
- 「空き家等」が倒壊等、著しく保安上危険となる恐れがある状態。
・「空き家等」が著しく衛生上有害となる恐れがある状態。
・「空き家等」が、適切な管理が行われない事により著しく景観を損なっている状態。
・「空き家等」が、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置する事が不適切である状態。
以上の事が「定義」されました。
相変わらず、分かったような分からないような「奥歯に物が挟まった」ような言い回しです。
簡単に行ってしまえば、キチンと管理されていない「使用されていない建物」と「その敷地」という事になります。
この「定義」によって、無管理で無使用の建物であれば、いつ何時「空き家対策措置法」の餌食になるか分からなくなりました。
この様な「一見あいまいに見える」定義ですが、大きな守備範囲を持っていますので、立法側からは都合がいいのです。
「特定空き家」に指定されたら即応じよう
「特定空き家」に指定されたら、まずは自治体による立入調査が入り、助言、指導が行われます。それにより改善が認められば「特定空き家」指定から解除されます。
ただし、改善が認められずに勧告を受けてしまうと、即刻「住宅用地の特例」から適応外になり、つまりは固定資産税が6倍になります。
もし、立入調査を拒否した場合や、その後の市町村長の勧告を無視してしまうと、それぞれ20万円以下、50万円以下の罰金を受けることになります。
さらに、期限内に完了の見込みがない場合などは「行政代執行」として、強制的に解体撤去、そしてその費用は所有者負担となります。費用が負担できない場合は財産の差し押さえも行われることとなります。
たとえ色々と面倒や心配があろうとも特定空き家に指定された場合は、速やかに応じるようにすることが大事です。
最近では、地震による「ブロック塀倒壊」や「空家に不審者が居着く」などの社会問題から近隣の住民から行政に通報し、「所有者が「特定空家」の勧告を受ける」と言うケースも増えています。
空家の固定資産税への影響
空き家をを持っているだけで固定資産税が6倍になるわけではありませんが、対策せずに放置していれば、いずれかは「特定空き家」に認定され、固定資産税6分の1(若しくは3分の1)の優遇措置から外されます。
同じ対策するなら助成金や税金の減免等を上手に使って、得のある空き家の活用を考えてみてはいかがでしょうか。
国土交通省 空き家の発生を抑制するための特例措置 より 引用
空家を相続すると、相続税が高くなる?
空き家の譲渡所得の3000万円特別控除
相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、当該家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む。)又は取壊し後の土地を譲渡した場合には、当該家屋又は土地の譲渡所得から3,000万円を特別控除します。